料理研究家が挑む!『土を喰らう十二ヵ月』ってどんな映画?

食欲の秋におすすめ!映画『土を喰らう一二ヶ月』が、2022年11月に公開されます。予告編では、炊き込みごはん、山菜のおひたしなどの美しい和食料理が並び、食欲をそそられますよね。

今回は、料理研究家の土井善晴さんが料理を手がける映画『土を喰らう十二ヶ月』について紹介していきます。

『土を喰らう十二ヵ月』は料理エッセイが原作!

本作品は、『飢餓海峡』などのベストセラーで知られる作家・水上勉さんが、1978年に雑誌ミセスに連載したエッセイ『土を喰う日々−わが精進十二ヶ月−』が原案となっています。

水上さんは女性編集者のすすめで約1年間、軽井沢の山荘にこもり、畑で採れた野菜や山菜を使って、少年時代に京都の禅寺で学んだ精進料理を作り、自然と共に暮らす日々を文章にまとめたそうです。

旬の食材で作る、質素でありながら豊かな料理が楽しめる料理本であり、土の匂いを忘れてしまった日本人の味覚を刺激する・・・。そんな世界観をもとに、『ナビィの恋』の中江裕二さんが映画の監督・脚本を務めます。

料理研究家・土井善晴も監修

原案エッセイの中に登場する、豪快にして繊細な料理たち。目にも耳にもおいしく再現したのは、家庭料理の第一人者として知られる料理研究家の土井善晴さん。

料理をどう作り、どう盛り付けるか中江裕二監督と打ち合わせを繰り返し、ツトムの料理を具現化していったそうです。食材選びなど調理そのものだけではなく、沢田研二さんへ指導や器選びなど、作品の細部に土井善晴さんの感性が生かされています。

また、作中の畑や食材の多くは、スタッフが撮影現場の近くに住み込み、農家の方々と協力しながら作り上げたということです。

料理担当の土井さんは、「なにしろ、沢田さんとご一緒させて頂いたことがとても光栄なことでした。そして”土”と生活が繋がっている感じが細部にまで現れていて、監督の思いが伝わってきました。」と語っています。

土を喰らう十二ヵ月 あらすじ

作家のツトムは、信州の人里離れた山荘で1人暮らし。山で採れた実やきのこ、畑で育てた野菜などを料理して、季節の移り変わりを実感しながら執筆する日々を過ごしています。

そんな彼のもとには時折、担当編集者である歳の離れた恋人・真知子が東京から訪ねてきます。2人にとって、旬の食材を料理して一緒に食べるのは格別な時間です。毎日を丁寧に暮らすツトムでしたが、13年前に他界した妻・八重子の遺骨を未だに墓に納めることができずにいました・・・。

土を喰らう十二ヵ月の登場人物(キャスト)

ツトム(沢田研二)

長野の山荘で暮らし、季節の移ろいを感じながら原稿に向き合う日々を送る作家。毎日の家事を一つ一つ丁寧にこなす性格でありながら、13年前に亡くなった妻の遺骨の処遇を決められずにいる。

真知子(松たか子)

ツトムの担当編集者で、歳の離れた恋人。時折、東京から訪ねてきてツトムの手料理を口いっぱいに頬張る。

大工(火野正平)

ツトムの友人で大工さん。

文子(檀ふみ)

ツトムが師と仰ぐ和尚の娘。

ちなみに、壇ふみさんの父で美食家としても知られた作家・壇一雄さんは、本作の原案・水上勉さんとも交流があったそうです。

隆(尾美としのり)

ツトムの亡くなった妻の弟。

美香(西田尚美)

ツトムの亡くなった妻の弟・隆の妻。

その他の実力派キャスト

写真屋役に落語家の瀧川鯉八さん、ツトムの義母・チエは92歳にして現役の奈良岡朋子さんと、各方面で活躍する実力派が集結しています。

土を喰らう十二ヵ月の見どころ

丁寧な生き方を体感

タイトルの「土を喰らう」とは、旬を喰らうこと。四季の移ろいの中で、自然が恵んでくれる食物をありがたく頂くことです。その食に向き合う精神は、今この瞬間を大切に生きることを意味しています。

自然を慈しみ、人と触れ合い、美味しいご飯を作り、誰かと食べられることに感謝する日々を送るツトム。その姿を通して、日々の生活に追われ旬を感じることが難しくなってしまったわたしたちに、丁寧な生き方、人としての豊かな生き方を体感させてくれます。

季節折々の料理

料理研究家・土井善晴さんが映画の料理に初挑戦ということもあって、作中に出てくる美味しそうな料理も見どころです。

予告編では、小芋の網焼き、炊き立てのミョウガご飯、わらびのおひたし、胡麻豆腐、ふろふき大根、若竹煮など、目にも美しい料理が登場します。本編ではどのような料理が見られるのか、調理の様子なども気になります!