2023年問題となったプロ野球選手の亡命…何が問題だった?

2023年のシーズン開幕前、中日ドラゴンズのジャリエル・ロドリゲス選手が亡命してしまい、球界は騒然としました。残念ながら、こういった外国人助っ人の亡命はこれまでも数度起こっていることなのです。

今回はプロ野球選手の亡命問題について紹介します。

ジャリエル・ロドリゲス衝撃の亡命

2019年のプレミア12で好投したことをきっかけに中日ドラゴンズに育成選手として入団することとなったジャリエル・ロドリゲス選手。当時は海外の複数球団からオファーを受けながらも、「日本でプレーしたい」という本人の強い希望もあってドラゴンズに入団することになったとされています。その後、2022年には一軍で活躍し、最優秀中継ぎのタイトルまで獲得したロドリゲス選手ですが、2023年のWBCをキューバ代表として戦った後にキューバから亡命したという衝撃のニュースが報じられたのでした。

キューバ人助っ人の亡命は無い話ではなかった

前年タイトル獲得者の、しかも開幕を直前に控えた3月28日に報じられた亡命のニュースに、ファンだけでなくドラゴンズ関係者も驚愕したことでしょう。ですが、助っ人外国人の中でも特にキューバ 亡命リスクがあるというのは野球ファンの間では常識で、2020年には福岡ソフトバンクホークスのオスカー・コラス選手が亡命しています。流石に契約途中の亡命というのは頻繁に起こることではないものの、無い話では無いのですね。

なぜキューバの選手は亡命するのか

亡命 野球選手の中でも目立つのはやはりキューバの選手です。2022年のU15キューバ代表の20人のうち、19人が既に亡命しているという衝撃のニュースもあります。なぜキューバの野球選手が亡命するのかというと、キューバの野球選手の扱いに問題があるようなのです。社会主義国家であるキューバ、日本に助っ人としてやってくるキューバ人選手は皆キューバ野球連盟からの派遣選手という扱いなんですね。

元中日右腕に続く衝撃…キューバ代表が1人残して“全員亡命” 15歳でも国去る決断 (msn.com)

キューバ野球連盟が給料を持って行ってしまう

プロ野球選手は個人事業主であり、球団はそれぞれ選手個人と契約を行います。それは助っ人外国人であっても変わりません。ただ、キューバの選手だけは話が別で、球団はキューバ野球連盟と契約を行い、選手は国の意向に従う形で球団と契約することになるのです。選手の希望が球団側に受け入れられることもあるようですが、最終決定権は球団側にあるのですね。また、給料も一度キューバ野球連盟を経由して分配されることとなっており、一説によると選手に渡る給料は球団から支払われたそれの3割程度という情報も。それでも、キューバ国内リーグの選手よりは大分恵まれているようです。

メジャーとはそもそも契約できない

その、「球団から支払われた契約金がキューバ政府に入る」という仕組みがアメリカでは問題視されており、現状ではキューバ人選手がキューバ野球連盟の派遣選手扱いで、MLBでプレーすることは現状不可能となっています。この点がキューバ人野球選手の亡命を誘発する最大の要因となっています。亡命こそがキューバ人野球選手が世界最高峰のレベルで野球を行い、多額の給料を得られる唯一の道筋なのですね。

ジャリエル・ロドリゲスがメジャー球団と契約

NPBに在籍しながら亡命した野球選手は、元の球団が保有権を所持している間は別の球団と契約できませんが、これまでの事例では「支配下枠の無駄になる」という理由で亡命年のシーズン終了時に契約解除されることが主で、翌年以降はメジャー球団との契約を勝ち取ることができます。ジャリエル・ロドリゲス選手の場合も、2024年1月にトロント・ブルージェイズと4年総額3200万ドル、約47億4000万円で契約したと報道されており、亡命歴を持つ選手をメジャー球団が構わずに獲得する点も問題かもしれませんね。

最後に

今回はプロ野球選手の亡命問題について紹介しました。

亡命歴のある選手と契約をするのは日本の球団も同じこと。若手キューバ人選手の亡命の流れは加速しているようですし、現状の仕組みであれば、キューバ人選手の亡命を防ぐのは難しいことかもしれません。