2018年カーオーディオ セパレートスピーカーの分かれ道

スピーカーはどうせ買うならセパレート。こだわってますってカンジ?

セパレートスピーカーを素人がいきなり自分で取り付けよう、という方はなかなかいないと思います。やったこと無いフロントパネルを外して配線するのも大変ですからね。

純正スピーカーから交換の場合、どうせならセパレートスピーカーをと、最初は大手量販店やプロショップでダッシュにツィーターを付けてもらうのが普通の流れでしょうね。

大抵は、ドアにつける方のスピーカーを施工する際にデッドニングを薦められます。3万のセパレートSPを買えばトータル7〜8万位でしょうか。

この時点でかなりの出費ですが、皆さんかなりの音質アップを期待しての事でしょう。

でも実はここでそれをしてしまい、下手にハマるととんでもない出費コースが待っています。予算が最初から潤沢にある人は良いですが・・。

 

ツィーターをダッシュやピラーに設置すること

耳の近くにツィーターを置くと、高音が直接届くので一見(一聴)高音質になったように思うんです。何も経験なければ大抵の人はそう思います。

20年ほど前、僕はカーオーディオ一時期ハマってたんですが、現在のツィーターの離れたデモカーで違和感…というか何も胸に迫ってこない音だと感じました。その時は何故かわかりませんでしたが、のちのち離す事で大事な音楽性を失う事が分かりました。別の言い方だと位相の揃ってない音です。位相の問題のない純正スピーカーを10年以上使ってたせいもあるかもしれません。

ツィーターが間近で鳴ると最初はよくても次第に高音がうるさく感じて音量が上げられない事がわかり、また家族がキンキンうるさくてとても聴いてられないと言い出し、取り付けたショップへ相談しに行きます。すると

 

店:ツィーターの音量を調節しましょう。付属のネットワークで下げられますが、もっと下げたいならリアスピーカーをツィーターにつなげてフェーダーで調節すればバランスよくなります。

高音が下がってキンキンはしなくなったけど、今度は音量を下げるほどにツィーターとドアスピーカーの音がバラバラに聞こえる。

 

店:純正のナビでは調節が出来ません。社外ナビなら、タイムアライメントでピッタリ音の到着タイミングを合わられるので、目の前で歌ってくれるように調整出来ますよ!

最近の音響技術はすごいね!ぜひ体験してみたい!とショップで社外ナビを定価で買い、組み込んで調整してもらった。確かに目の前に感じる!なるほどね…。

第一段階「こんなもんよね、カーオーディオなんて」「すごいぞうちのクルマは。友達にも聴かせてやろう!」と施工はここまでで止まる人も多いでしょう。お金もかかりますしね。被害は最小限になる分幸せかもしれません…。

 

カオデ沼への入り口

そこで止まってたら良かったのに、現状に満足しない人たちは雑誌やWeb記事を読み漁り、夢のハイエンドシステムに憧れを募らせます。自分の車より良い音のするデモカー(何百万もつぎ込んでるものも)を聴けばそれは興奮して妄想も止まらなくなるのはわかります。

逆に、この時点で満足しないのは、ツィーターの位置に違和感を感じる人、聴いてるデッキの音自体に何か不満(原曲と違う)がある人でもありますね。楽器経験者などもそうかもしれません。

そして当然、せっかくカーオーディオをやるなら見た目のカッコよさも目指します。

 

店:Aピラーに埋め込んだら見た目と音質が同時に良くなりますよ。ツィーターの角度も専用の機器を使って正確に割り出しますし。

見た目は抜群になった!でもやはり耳には高音が目立ち、ドアスピーカーは聞こえづらい気がする。アンプを導入すればもっと広がりのある音になるのかな。

 

店:おすすめはパワーもありハイレゾにも対応した最新のデジタル(D-class)アンプがよく売れてますよ!ケーブルもカー用のノイズに強いものがおすすめです。

なんだか音に力が加わって濃くなったかも。やっぱりアンプの威力はデカイ。けどドアが前よりビビってるのかな?低音がボワボワしてる。

 

店:今まで以上にドアスピーカーも鳴りますので、ビビリ防止にデッドニングのやり直しが必要です。

じゃぁデッドニングお願いします。でもガッチリしてみたら低音が弱くなった気がする。

 

店:低音をしっかり出しましょう。手軽に低音を出すにはアンプ内蔵のサブウーファーがいいです。シート下に入るので邪魔になりませんし。

ひとまずシート下にサブウーファーを。ズンズンは来るけどいまいち音楽とうまく馴染んでないような・・・

 

店:おもちゃのサブなので限界があります。やはりアンプも導入して本格的にしないと重低音は出ないですよ。うちならサブウーファーのボックスも制作もしますよ。

そうかぁ〜。じゃぁ追加でアンプを導入しようかな…これで低音も鳴るようになったし…完璧なはずなんだけど楽器やボーカルに力がなく遠くで鳴ってる気がする。

 

店:アウターバッフルにするとより直接的にドアスピーカーの音が届くのでおすすめですよ!

やった!雑誌でよく見るAピラーツィーターにアウターバッフル仕様の2WAYシステムが完成だ。

なのに…なぜか音場はのっぺりした、解像度だけはいい音響空間。こんなものなのかな・・・。

 

店:ナビについているDSPは簡易なものなので限界があります。外付けDSPを導入すればより細かな調整が出来ますよ!

憧れの外付けDSPを付けるなら、ナビの音なんて聞けないよ。プレーヤーは金のウォークマンを買わないとね!

 

店:外付けDSPは8チャンネル出力ありますから、アンプを追加して3Wayにしましょう。ミッドレンジのためにAピラーを作り直しましょう。

やっぱ最終的には3WAYでしょう!ここまで来たら…あのドイツの最高級アンプが欲しい・・イスラエルの高級3Wayが欲しい…

 

店:ラゲッジを改造してサブを埋め込みましょう。サブ専用のモノラルアンプを追加し、アンプにきれいな電気を送るためにキャパシタも使ったほうがいいです。

………これが最高峰のシステムの音か・・お金かかったしこれがいい音ってやつなんだ。そうに違いない…。

 

店:ノイズを排除する○○を導入すればさらにSN感が上がりますよ。〇〇も△△も、✕✕なんかも効果的ですのでやってみませんか?………

 

はいここまでで下手すれば200万オーバーの既定路線です。ショップは大喜びです。お金がある人は一つの到達点でしょう。たぶん。

それでいい音になるんだったら文句は言いませんが、そんな人が車を買い替えたりして純正システムを聴くと、俺は何をやってたんだろうと愕然とする人もいるんです。

 

まぁ上はカモ中のカモの極端な例ですが、セパレートにすることで、口のうまいショップにかかると恐ろしい事になると言うコースです。ローンなんて組んだ日にゃ。。。

雑誌やWeb記事でもこれが正しい発展コースみたいになってるので、客の方から言ってくれれば尚ホクホクですね。

ツィーターを離したセパレートスピーカーは、まさに壁を登りはしごを外された状態で、常に中途半端な状態でリリースされ、最後までしゃぶりつくされます。

で、コンテストに出て客が営業・宣伝をさせられると。

それだけお金出して10位以内にも入れない人とか、どういう気持なんでしょうね。。。

まぁどれだけお金かけたかを競うコンテストには音がいい悪いは関係ないのかもしれませんが。

 

この流れを断ち切る方法は

セパレートが諸悪の根源のようになってますが、それもこれも、ツィーターの位置、これが悪いだけなんです。

 

ショップのデモボードで、車のように上下に分けて聞かせるショップありますか?

皆ツィーターはウーファーのすぐ斜め上につけてるからマトモな音に聞こえてるのに、ホームスピーカーもそうなのになぜ疑問に思わないの?

車内で離して設置するあの距離を計算(タイムアライメント)でタイミングを合わせば大丈夫と思ってる人がほとんどな、日本のカーオーディオ界。

ツィーターは耳元まで上げないとボーカル定位が下がる、とどこかで刷り込まれているのです。いきなりセパレートにする人は普通にそう思うのでしょうし、店側もそう説明します。

Aピラーに付けようもんなら(よっしゃーカモゲット)です。もうそうなると微妙な角度も動かせませんから後から文句言っても争いになるだけ。

カーオーディオはDSPというなまじ音を操作できる(出来ると思っている)回路のおかげで狂ってしまいました。

腕のないショップのために、簡単にお金が儲かる機能として開発されたのがDSPであり、昔はこんなのなくても、取り付けのノウハウでいい音を出す職人が沢山いました。

そしてその中でも音が分かっている腕のいいインストーラーはドアスピーカーと出来るだけ離さない位置にツィーターを取り付けました。

例えばドアスピーカーのすぐ上や、斜め下の足元のキックパネルと呼ばれる位置に埋め込んだりしました。僕も20年前はそうでしたね。

でも、このやり方はアナログなシステムにはいいのですが、現在あるDSPを主とした機器がほとんど必要なくなりますので、ショップ側としては美味しくないので、昔のキックパネル取り付けは無かった事になっています。無理に施工をお願いしても色々言い訳されて断られると思います。だって儲からないですからね。全部とは言いませんが、音質よりも食べていく事が現在のショップは優先なのです。

先程会話形式で書きましたが、ほとんどがショップ側の都合といいますか、お金が儲かる方に話を持っていっており、出来るだけ高い機材を買ってくれる事を念頭に置いたステップです。業界ぐるみでそうなってるので、気づかないのです。特に赤字は要注意です。

これで客をそそのかすのが嫌な所は兼業で細々とやっていってるか、廃業してるかのどちらかでしょうね。

そういったお店を現在探すのはとても困難だと思いますので、本当にいい音を目指すなら、安い高いに惑わされず、本当に良いものを知り、出来るのなら自分で取り付けて、調整も自分でやること以外ありません。

幸い、そういったノウハウはネットでも知恵袋やみんカラでも公開されてるので、200万掛ける前に是非チャレンジしてみてください。

感動する音は最低限、確かなCDデッキとフロントスピーカー、サブウーファーだけでも作れます。DSPもイコライザーも高級ケーブルも要りません。CDでさえ再現しきれてないのに、ハイレゾなんて無駄です。

 

アナログなシステムは安く、現代でも通用する本当の音楽が楽しめます。

現代はデジタルの時代ですが、まだすべての事にデジタルに任せることは出来ていません。車の環境に対応するために開発されたというDSPは一度でもその回路を通るだけで音は劣化します。それを補正してそれっぽい脚色を付け、出力されるのが現代の音です。この音の改変が、まだまだアナログに追いついてないんだと思います。ホームはこんな回路通す必要が無いので素直でストレートな音で楽しめます。

 

デジタル回路に頼らず、アナログなセッティングで追い込んで行けば現代の音に負けないどころかはるか先へも行けます。

先程の店側の青文字でもその中でも要注意なのが赤文字ですが、ここが店の説明や雑誌やWeb記事と真反対なので驚くかもしれません。箇条書きでまとめると

  • セパレートはドアスピーカーとツィーターを離して設置してはいけない
  • タイムアライメントは音の劣化と音自体の組み立てを壊す回路、音楽の自然な奥行きを平面にしてしまいます。
  • チューンナップサブウーファーはけしておもちゃではなく、使い方が間違ってるだけ。運転席や助手席下は音を狂わすし、全然響かない。
  • いわゆるD-CLassのアンプは安価なだけで入門用にはいいが、パワーだけで内蔵アンプの方がむしろニュアンスはいい場合もある。音楽を楽しむなら繊細さとパワーを持ち合わせたAB級。
  • ハイエンドなケーブルにハマると金額の感覚が狂い地獄を見る。ホーム用のベーシックなものでも問題なく、むしろ大事なのは機器とをつなぐ接点の確かさ。
  • Aピラーにツィーターを埋め込んでも音は良くならない。同乗者の事を無視した施工。
  • アウターバッフルと過剰なデッドニングは本来の音楽の響きを逆に殺してしまう。むしろドアパネルの反響を利用する方が音楽になる。
  • 特定メーカや輸入代理店主催のコンテストでは、正当な評価はされないので見学に留めるほうがいい。

ここまでが理解出来るのでしたら、外付けDSPは要りません。アナログを極めればボーカルが目の前でとか定位もどうでもよくなり、ただただ楽しいです。

 

それでこの記事の題名についてですが、おすすめというよりも好きなセパレートスピーカーがあるのでしたら、それを買っても構いませんが、とにかくツィーターを高い位置に置かず、足元のなんなら耳の延長線上になくてもいい位、奥に付けても構いません。仮で両面テープででもいいので試してみてください。

音の伝わり方は不思議なもので、低い場所で鳴っていようが高音はちゃんと上へやってくるのです。そしてドアスピーカーが主役じゃないと本当の音楽は鳴りません。とにかく大事なことはフロントスピーカーは音の出処を一箇所にまとめるということです。音楽に大切な「位相」を合わせる簡単な方法です。

タイムアライメントを使うんではなく、超アナログな「設置場所」で調節するのが究極です。これでドアスピーカーとのバランスを合わせるのです。

この音がわかれば、シンプルなCDデッキでDSPオフでもちゃんとした音楽が聴けます。

 

これがわずらわしい、自分じゃとても出来ない、と言う人のためにとてもいいスピーカーがあります。

コアキシャルスピーカー

え、あの安物スピーカー?真ん中にくっついてるツィーター?はおまけみたいに見えるし…。せいぜいリアに付けるあれが?

確かに本当に安物もあるとは思いますが、この安物と思われるスピーカーにどれだけの企業努力を重ねてるか、意外と知られていません。

むしろノウハウが必要なのは誰でも買える値段帯のもので、手を抜いたらその上の製品まで安く見られてしまうのでメーカーは真面目に作ります。

この傾向はスピーカーに限らずCDデッキにしてもそうです。大量に作る必要もあるから原価も下がりますし、セパレートはネットワーク代もあるので原価がかさむだけでスピーカー単体で比べたら大して変わらないんですよ。むしろ10万するスピーカーの方が値付けがいいかげんだったりします。

それで、国産で最高峰の音を出してくれるのが、地味に思えるかもしれませんがクラリオンのコアキシャルスピーカーです。

前の型番であるSRT1000や1600,1700は国内生産ししっかりノウハウを固めた上で生産コストの安い中国製造にしたおかげで、そのままの値段でよかったのに半額まで落とすクラリオンさんはバカ正直といいますか…。おかげでコスパは異常なほどです。

低音を担うウーファー部分と、ミッドレンジを担うスコーカー部分、高音部分を担うツィーター部分が見事にハーモニーし、一体化している技術的にもすごいことをしているのがこの製品で、疑似3WAYスピーカーとも言えるこの作りによって、車内が位相の揃った良い音で満たされます。これを超えるには本当のアナログな3Wayシステムを作るしかないかもしれません。

これを教えてくれた方(心の師匠)はこれの音の出方を1年位聴いてからセパレートを改めて使うほうが、正しい音で設置出来、さらに音楽が楽しくなるとおっしゃっています。

 

僕はこのスピーカーの虜になってもう3年程経ち、いまだに1033と1633を入れ替わりで楽しんでる位です。

他にも気になるスピーカーはあるにはありますが、すぐに変える予定はありません。

SRT車種別対応表

ここをご覧になってご自身の車を探し、SRTのどれが対応するかを確認してみてください。特にスズキ車と日産車は取り付けやすい気がしますが、専用のバッフルまでつくサービスぷりなので、デッドニングもせず、バッフルを使ってまずは取り付けてみてください。真ん中のSRT1633が殆どの車で付けられると思うので最初におすすめです。ケーブルも凝らずに付属のもので、足りない場合はホームセンターの赤黒コード(VFF線)でも構いません。カプラー式の車には対応のカプラーも入ってます。とにかくポン付けでいい音が鳴ることに拘って作られています。もしスズキ車で新車を買うのでしたらディーラーオプションでもSRT1633相当のコアキシャルが選べますのでおすすめです。

 

セパレートスピーカー、買う前に一呼吸

というわけで、雑誌もショップもWeb記事も信用できない現代、自分で聴いて判断する他ありません。

紹介したコアキシャルスピーカーは5,000円ほどですんで、モレルだブラックスだと色々夢を膨らませているのは一旦一呼吸置いて試してみられることをおすすめします。

 

これだけで、高級なデッキやアンプ、ケーブルなどを一旦冷静に考える事が出来るようになります。

だってこんなに安いのにいい音、安心出来る音が出るんですから。

DIYで取り付けるにしても、ドライバーと内張りはがしさえあれば純正を取って替えるだけなので、人任せでは感じなかった愛着もわき、音の出る仕組みを感じながら楽しめますので、ぜひやってみてください。この記事の前に書いたメインユニットの記事と併せて参考にしてもらったら、あなたの思い描いていた音楽に出会えるかもしれません。

2018年カーオーディオ メインユニット編