前から出るとは噂されていましたが、ASUS(台湾大手PCブランドメーカー)から、32インチ4K液晶としてはシャープ・DELL・EIZOと続く4台目となる「PA328Q」が3月20日より発売となりました。
液晶パネルはIPS液晶になるんですが、大きく分けてシャープのIGZOパネルと台湾AUO製に分けられ、EIZOと今回のPA328QはAUO製となるようです。
従いまして用途としてはCADやデザインワーク・一般事務などに使われるもので特別ゲーム向けではありませんが、今までの同モデルと何が違うのかと言うと、HDMI2.0の搭載が挙げられます。
近頃のPCとの接続は、DVI端子から徐々に4K解像度でも余裕で送れるDisplayport1.2が主流になりつつあり、4K/60Hzでの表示が可能です。
較べてHDMIは今までは1.4規格で4K/30Hzでの表示までが可能でしたが、今回2.0になり帯域が増え4K/60Hzが可能になったのですが、なんだそれだけなら別に大して変わってないじゃん、と思われますよね。ですが一部のマニア(笑)ではこれの搭載を今かと待ちわびていたのです。
理由は、PC以外の4K視聴コンテンツへの接続が可能になった、という点です。そのためにはHDMI2.0対応はもちろん、4K映像の著作権を守る規格「HDCP2.2」にも対応している事が条件で、PA328QのHPにもHDCP2.2対応と明記されています。
こんな大きな液晶モニター、PC用途だけじゃもったいないということで4Kの高精細な動画も見たい!というニーズに応えてくれる今唯一のPCモニターになります。
実はAcerからも27インチですがHDMI2.0を搭載した4Kモニターが出ていますが、このHDCP2.2には対応してない事が判明。こちらは完全にPC用途のモニターですね。
ただ残念なのは、映りはしますが本当の完全対応ではなさそうです。これは本当に細かな事ですが伝達する色情報に若干の劣化が生じる「YCbCr=4:2:0で4K/60Hz」になる(詳しくここで解説されています)ようなのです。
HDMI2.0の帯域の規格にはややこしいことに2種類あって、10.2Gpbs規格と18Gbpsがあります。PA328Qは4.2.0な所を見るとどうやら10.2Gbpsに留まると言う事になります。
これが18Gbps「YCbCr=4:4:4」ならば劣化なく伝送できるわけですが、先ほどのAcer製は18Gbpsだそうで、中々思うようにはいかないですね。
逆に、4K液晶テレビでは普通に「YCbCr=4:4:4」でのHDMI2.0(HDCP2.2)に対応しています。東芝レグザのZ10X・J10X・J9Xシリーズは各1本ついており、パナソニックのTH-AX700やAX900シリーズに至っては3本もついています。
そもそもこのHDMI2.0(HDCP2.2)は現在の段階ではスカパーチューナーと接続して4K放送を見るための用途が大きいんですが、将来は4Kブルーレイなどにも対応すると見られます。
あとで調べてわかったのですが、スカパー4Kも放送自体4.2.0だそうで、今のPA328Qの仕様でも問題はなさそうですが、いずれは4.4.4の4Kブルーレイが出た時に映りはしますでしょうけど少し劣化した映像を見る事になります。まぁそれが分かるかどうかは人によるかもしれませんが。
近頃は4KテレビをPCモニターに、と考えている人も多いのでしょうが、40インチ以下の製品が無く、パーソナルユースでは大きさに躊躇する人も多いのではと思います。家族からの視線も痛い(笑)
あと液晶TVにはDisplayport1.2が付いてない(以前のパナソニック製品にはついていたが)ので製品によってはHDMI2.0をチューナーと取り合う事になりますし、TVはやはりTVなので真っ白な画面になった時に四隅が暗く見えるムラ問題があるようで、ブラウザなど常時単色を表示し続けるPC用途では気になる所です。それに今トレンドである液晶モニターにはあるフリッカーフリーも至近距離での視聴を想定していないTVにはついてないので目の疲れも心配ですね。あと大きい画面を追うのに首の疲れも懸念されるのでやはり大きくても30インチ台が無理なく使える範囲じゃないでしょうか。
PCモニターも、4Kテレビもいいところまで歩み寄っていたんですが、そこのモヤモヤに一筋の光を差す(おおげさ)液晶モニターがやっと出た、というわけです。
もし4KテレビにHDMI2.0(HDCP2.2)のついた32インチや36インチが出ればそれも有りだと思います。
映りの綺麗なIPSパネルの4K液晶32インチに、おまけで4Kチューナーや4Kブルーレイを繋げられますよ、という位が、PCユーザーにはちょうどいいんじゃないでしょうか。
個人的には今考えられる4K液晶モニターの最適解だと思いますがいかがでしょうか。17万円からのスタートですから、今までの製品とくらべてもそんなものでしょうね。
EIZOから出ている4KモニターEV3237がHDMI2.0に対応してくれていれば日本人としては第一候補になっていましたが今言っても始まりませんし、これに追随してこのサイズのモデル(出来れば「YCbCr=4:4:4」対応で)が他からも出てくれると嬉しいです。10万切ってくれたらもっと嬉しい(笑)
私の年齢的にも、Macならまだしも、Windowsメインで28インチサイズで4K解像度は少々文字のサイズが辛いので手が出ませんでしたし、逆に4Kテレビも大きすぎて書斎には不似合いで躊躇しておりました。
今年はIPSで144Hzのゲーミングモニターが出る話題など、液晶モニターの明るいニュースが多い気がしますね。
AVレビューサイト(善の付く名前の方の記事など)か、誰かのレビューを待って(笑)本当にチューナー等がつながるのかどうか分かり次第、第一候補として考えてみたいと思います。
一時期在庫がまったくありませんでしたが、現在は徐々に出回り始めたようです。